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日記より抜粋のコネタ 少年ハナビの妄想設定ダダ漏れ中です。 * * * 決して、誰にも気づかれてはいけない秘めたる想いがあった。 その切ないまでの気持ちに名を与えるならば『恋』にも似た感情だったかもしれない。 誰よりも近くにいて、心許せる相手だというのに…その言葉を口にするコトは許されない。 さりとて、心の内に秘したままでいるコトも苦しくて…いつしか私は、互いを傷つけるしかない偽りの言葉を吐き出す。 * * * 「……姉さん?」 脱ぎっぱなしの上着を取りに戻ったハナビは、夕暮れ時、道場の片隅に佇む姉の姿を見つけ、怪訝な面持ちでそっと声をかけた。 こちらに背を向けていたヒナタは、ハナビの呼びかけに気づかないのか、俯き加減で物思いに耽っている様子だった。 「……何を…」 何をしているのか…と、問うハナビの声は、ヒナタの手元に握られた上着を見た途端に途切れた。 細い指先が、艶かしく布地のカタチを辿り、恭しくも愛し気に彼女の胸へ押し抱かれる。 薄っすらと微笑みを浮かべた柔らかな唇が、言葉にならない声で何かを呟いていた。 薄紫色の瞳が、うっとりと夢見るように細められ、微かに浮かんだ熱っぽい光りを静かに隠した。 「姉さん……」 ハナビは、その光景に…気づいてしまったひとつの事実に愕然とした。 けれど、その衝撃はあまりにも芳しく…甘い…痛みだった。 2006年05月25日(木) |
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すいぞくかん 水乃えんり 筆 無断転載・複製・直リンク禁止 |